クラウドアーキテクトのプロジェクト紹介

実務で使える生成AI関連プロジェクトのPoCから実装まで紹介します。

3ヶ月で実現を目指す営業支援AIエージェントプロジェクト⑥(RAGとエージェンティックRAGの違い)

はじめに

営業支援において、必要な情報をどう集めるかはもちろん大事ですが、「その情報をどう扱うか」も同じくらい重要です。今回は、情報検索に関して、従来の手法とAIエージェントによる新しいアプローチの違いについて紹介します。

RAGは“司書のいない図書館”のようなもの

これまでのRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、例えるなら「司書のいない図書館」でした。資料はたくさん並んでいますが、検索はあくまで“ワードに意味的にマッチする本”を引っ張ってくるだけ。その中から、どれが使えるのかを判断し、どう組み立てるかは利用者次第でした。

検索にヒットした本の中身をAIが読み、回答に使うという動きはできても、「何が大事か」「どのように使えばよいか」といった観点までは、十分にサポートできていませんでした。

AIエージェントは“分野別の司書がいる図書館”

一方、AIエージェントによる情報検索は、まるで「分野ごとに詳しい司書が控えている図書館」のようです。利用者が目的を伝えると、次のようなサポートをしてくれます。

  • どの棚に目的の情報があるかを教えてくれる
  • 本のどの章やページに答えが載っているかを示してくれる
  • どう読めばよいか、どう活かせばよいかの考え方まで教えてくれる

さらに、複数のエージェント(=司書)が連携し、「この提案には、業務改善事例の第2章と、制度変更の資料の最新情報を組み合わせて考えるとよい」といった、情報の“つなげ方”までサポートしてくれます。

単なる検索ではなく、“意味を理解する”検索へ

AIエージェントの検索には、「意味の近さ(セマンティック検索)」を活用したベクトル検索が使われています。これは、表現が異なっても内容的に関連する情報を見つけられる技術で、従来のキーワード検索と組み合わせることで、より広く・深く情報を拾うことができます。

たとえば、「店舗運営の効率化に役立つ提案がほしい」といった問いに対して、AIは「在庫管理システムの導入事例」や「省人化施策の成功例」など、直接的なキーワードが含まれていなくても関連性の高い情報を提示することができます。

“考え方”まで伝えることで、提案の質が変わる

AIエージェントは、ただ情報を集めるだけではありません。「なぜこの情報が重要なのか」「どう活かすべきか」といった“考え方”まで教えてくれるため、単なるテンプレート的な提案ではなく、相手や目的に合った提案の“組み立て”を支援してくれます。

今後の展望

今はまだ、情報を案内し、組み立てのヒントを与える“支援役”ですが、今後はさらに、提案資料そのものの下書きまでを自動で生成し、そのまま使えるレベルに仕上げていく構想も進めています。

次回からは、こうした仕組みを支える裏側、つまり「どのようなクラウドサービスを使ってこの仕組みを動かしているのか?」についても詳しく紹介していく予定です。